
リバースモーゲージとリースバックの違いは?仕組みやメリット、条件を比較解説
リバースモーゲージとリースバックには、自宅に住んだまま資金調達を行えるという共通点があります。一方で、年齢・資金用途制限の有無や自宅の名義が誰かといった点には違いがあるため、後悔しないためにも事前に理解しておきましょう。
目次
リバースモーゲージとリースバックの違い
リバースモーゲージとリースバックは、使う目的や仕組みに違いがあります。主な違いは以下の表の通りです。
比較項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
---|---|---|
形態 | 不動産を担保とした融資 | 売却と賃貸による不動産取引 |
受け取れるお金 | 金融機関からの借入金 | 売却代金 |
年齢の制限 | 有 | 無 |
所有権 | もとの所有者 | 購入者 |
用途 | 制限あり | 制限なし |
相続人の同意 | 有 | 無 |
保証人の設定 | 有 | 無 |
このように、リバースモーゲージとリースバックの最も大きな違いは、融資か不動産の取引かという点にあります。リバースモーゲージは家を担保として融資を受ける形で資金調達をするのに対して、リースバックは持ち家を売却して資金を手に入れ、売却後に賃貸契約を結ぶことで住み続けられるサービスです。
以下ではリバースモーゲージとリースバックそれぞれについて、より詳しく解説します。
リバースモーゲージとは?
リバースモーゲージとは、自宅を担保にしてその不動産評価額の範囲内でお金を借り、契約者の死亡後に借入金を一括返済するサービスです。なお、契約者が生きている間は、利息分のみを返済する形式が一般的です。
また、住宅ローンが残っている場合でも、条件によってはローンの借り換えを行うことも可能になっています。ローンの借り換えができるか、自分に合ったリバースモーゲージのプランがあるかどうかなどは、金融機関や公的機関といった事業者ごとに異なるので、うまく活用するために事前にしっかりと確認するようにしましょう。
●リバースモーゲージに関する詳しい記事はこちら
リースバックとは?
リースバックとは、持ち家をリースバック業者に売却して資金調達すると同時に、物件の新しいオーナーであるリースバック業者と賃貸借契約を結ぶサービスのことです。持ち家売却後も毎月家賃を支払うことで、自宅に住み続けられます。
このように、住み慣れた家に住み続けたまま資金調達ができる点は、リバースモーゲージもリースバックも同じです。しかし、利用条件やメリット・注意点は異なるので、以下ではそれぞれについて比較していきます。
●リースバックに関する詳しい記事はこちら
リバースモーゲージとリースバックの利用条件の違い
リバースモーゲージとリースバックでは利用条件に違いがあります。利用を検討している方は、自身が利用できるかどうか事前に条件を確認しておくと安心でしょう。利用条件の違いは、主に以下の2つです。
・資金の用途条件
・年齢の条件
各条件の違いについて、以下で詳しく見ていきましょう。
資金の用途条件
条件の違いとして、リースバックは資金使途が制限されないのに対し、リバースモーゲージは制限されるのが一般的です。リバースモーゲージの場合、社会福祉協議会といった公的機関と民間の金融機関で制限項目は異なります。たとえば、社会福祉協議会が窓口になっている「不動産担保型生活資金」は、自立支援が目的のため、老後の生活資金として融資されます。一方で、民間の金融機関は事業用資金や投資目的以外の範囲内でそれぞれ用途が定められています。
年齢の条件
リースバックは、成人であれば誰でも利用できます。しかし、リバースモーゲージは、利用は何歳以上からといった年齢制限があります。金融機関によっては、50歳以上、60歳以上から利用できるサービスもありますので、年齢制限について事前に確認しておきましょう。
リバースモーゲージとリースバックにおけるメリットの違い
ここからは、リバースモーゲージとリースバックのメリットの違いについて解説していきます。
リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージのメリットとして、高齢になっても利用できることが挙げられます。老後資金に不安がある人にとっては大きなメリットといえるでしょう。加えて、リースバックは家賃を支払い続けるのに対し、リバースモーゲージであれば毎月の返済が利息分のみとなるので、出費を抑えることが可能です。
リースバックのメリット
リースバックは、自宅に住み続けながらまとまった資金を短時間で受け取れるうえ、リバースモーゲージと比べて資金の用途制限がない点がメリットといえます。また、家の所有者が自分ではなくなるため自由度は減りますが、家にかかる固定資産税といったランニングコストがかかりません。賃貸借契約で自然災害・老朽化による修繕はオーナー負担と定められていれば、修繕費の心配も減るでしょう。
リバースモーゲージのリスク
ここまで、リバースモーゲージとリースバックのメリットについて解説してきましたが、「実際のところデメリットはあるの?」と考える方も多いのではないでしょうか。ここからは、リバースモーゲージとリースバックのリスクについて解説していきます。まず、リバースモーゲージの主なリスクとして挙げられるのは以下の3つです。
・家族に迷惑をかけてしまう恐れがある
・マンションは対象外になる場合がある
・返済が長期化する恐れがある
各リスクについて詳しく解説していきます。
家族に迷惑をかけてしまう恐れがある
リバースモーゲージを利用することで、家族に迷惑をかけてしまうケースがあります。なぜなら、リバースモーゲージの利用契約には、推定相続人の同意を必要とすることが一般的だからです。推定相続人とは、財産の持ち主が亡くなった際に相続する人のことで、契約者の配偶者や子どもなどが該当します。しかし、リバースモーゲージは契約者が亡くなれば家を売却することが前提となっているため、推定相続人は家を相続財産として受け取れません。もし、推定相続人が「家に住み続けたい」「土地活用をしたい」などと考えていた場合、借入金を一括返済しなければ、その希望は叶えられなくなります。
また、不動産の売却額が借入総額を下回る場合、推定相続人が残りの金額を支払わなければならないプランもあります。家族に迷惑をかけないためにも、利用するかは慎重に検討し、仕組みについて事前にしっかり説明するようにしましょう。
マンションは対象外になる場合がある
リバースモーゲージは、マンションでは利用できない場合があります。なぜなら、リバースモーゲージでは建物より土地のほうが評価される傾向にあるからです。マンションは一戸建てより土地の持分が狭いうえ、土地だけの売却もできないので、対象外とされることが多くなります。
また、マンションで融資を受けられたとしても、建物は市場の変化や経年とともに資産価値が下がるため、死亡時に返済の負担が増える可能性があります。そのため、マンションに住んでいて資金調達を考えている方は、不動産会社に仲介を依頼して売却することも検討してみましょう。
返済が長期化する恐れがある
近年、「人生100年時代」ともいわれるように、平均寿命は伸びています。その分、長期間にわたって利息を払い続ける必要性も出てきます。
リバースモーゲージは死亡時に借入金を完済するシステムで、長期の返済リスクを避ける目的で、借入期間を設けている金融機関があるのも事実です。その場合、期間が満了した時点で契約者は借入金の一括返済をするか、担保としている不動産を売却しなければなりません。「借入期間が過ぎて、住む家がなくなってしまった」といったことが起きないためにも、リバースモーゲージの利用の検討をしている方は期間の条件が設けられているか、事前に調べましょう。
リースバックのリスク
リバースモーゲージと同様、リースバックのリスクに関しても理解しておきましょう。リースバックの主なリスクは以下の3つです。
・長く住み続けられない場合がある
・仲介での売却代金より安い
・家賃が高額になる場合がある
それぞれ解説していきます。
長く住み続けられない場合がある
リースバックでは、普通借家契約ではなく定期借家契約を採用されていることが多いため、2~3年ほどしか住めません。長く自宅に住み続けたいと考えている方は、普通借家契約ができるリースバック会社を見つける必要があります。
●普通借家契約と定期借家契約に関する詳しい記事はこちら
仲介での売却代金より安い
リースバックを利用した売却は、仲介での相場価格より成約価格が安くなる可能性があります。なぜなら、リースバックの成約価格には、再販売における利益や、リースバック会社の在庫リスクが加味されているからです。なるべく高値で売却したい方は、仲介での売却のほうが適しているといえるでしょう。
●家の売却方法に関する記事はこちら
家賃が高額になる場合がある
リースバックは、一般的な賃貸物件のように立地や間取りなどの条件のみで家賃が決まるわけではなく、物件の買取価格も影響します。買取価格が高額だった場合、一時的には資金が手に入るものの、家賃も高くなるため、払い続けられるか注意しましょう。
リバースモーゲージとリースバックに向いている人とは?
リバースモーゲージとリースバックは、どちらも自宅を利用した資金調達の手段ですが、どちらが向いているかはその人の状況や希望条件によります。
リバースモーゲージは、名義人が死亡するまで物件を売却しないため、自宅に長く住み続けたい人に向いています。対して、リースバックが向いているのは、開業や投資などのためにまとまった資金を一括で調達したい人です。また、年齢による制限がなく、不動産取引の一形態であるため、リバースモーゲージの条件に当てはまらない人も利用できます。
まずは不動産会社に相談をしよう!
ここまで、リバースモーゲージとリースバックの違いについて解説してきました。住み慣れた家に住み続けながら、資金を手に入れられるという点で双方は同じです。しかし、リバースモーゲージは老後の生活資金や住宅ローンの借り換え、リースバックはまとまった資金調達を主な目的としているという大きな違いがあります。
なお、自宅を現金化する手段はリバースモーゲージやリースバックだけに限りません。より高い価格にこだわるならば、仲介での売却がおすすめです。老後のまとまった資金を得るために、自分に合った方法が知りたいという方は、一度不動産のプロに相談してみてはいかがでしょうか?
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。