
投資用マンションの売却にかかる税金とは?計算方法や活用できる特例についても解説
投資用マンションの売却を考えている方のなかには、「税金はどれくらいかかるのだろう?」「居住用マンションと比べてかかる税金に違いはあるのだろうか?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?この記事では、投資用マンションの売却にかかる税金やその計算方法についてご紹介します。
目次
投資用マンションの売却にかかる税金
はじめに、投資用マンションの売却にかかる税金やその計算方法についてご紹介します。
まず、投資用マンションの売却にかかる税金は、主に以下の4つです。
・消費税
・印紙税
・登録免許税
・譲渡所得にかかる税金(所得税+住民税+復興特別所得税)
建物部分の売却価格にかかる消費税は、居住用マンションの売却では発生せず、投資用マンションの売却で発生します。消費税の課税対象の1つに、「事業者が事業として行う取引」があります。投資用マンションを売却する行為はこの要件にあたるため、消費税の課税対象になるというわけです。
消費税は個人が居住用マンションを売却する際には発生しないため、投資用マンションと居住用マンションの売却にかかる税金の違いとして、大きなポイントであるといえます。
対して、印紙税や登録免許税、譲渡所得にかかる税金は、投資用・居住用を問わず課されるものです。特に、譲渡所得にかかる税金には、住民税や所得税、復興特別所得税などがあり、投資用マンションの売却にかかる税金のなかでも大きな割合を占めます。
譲渡所得にかかる税金の計算方法は以下の通りです。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除
なお、投資用マンションの購入代金をそのまま取得費として計算することはできません。建物は築年数に応じて価値が下がっていきます。それを加味し、投資用マンションの購入代金から、物件を所有していた期間の減価償却費を差し引いた金額を、取得費として扱います。減価償却とは、建物を含む固定資産の価値を何年にもわたって少しずつ減少させていくことであり、こちらについては後ほど詳しくご説明します。
なお、投資用マンションの売却で譲渡所得を得た場合は、必ず確定申告をしなければなりません。確定申告漏れや期限後に申告した場合は、無申告加算税や延滞税が課せられることもあるため注意しましょう。
●減価償却の計算方法について詳しい記事はこちら
投資用マンションの売却に活用できる特例や節税方法
投資用マンションの売却で活用できる特例や節税方法は、次の3つです。
・事業用の資産を買い換えたときの特例
・相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
・投資用マンションを5年以上所有してからの売却
以下で詳しくご説明します。
事業用の資産を買い換えたときの特例
投資用マンションの売却に活用できる特例として、「事業用の資産を買い換えたときの特例」があります。この特例は、個人が事業用の土地建物を譲渡し、一定期間内に新たに資産を取得して事業用に用いることで、譲渡所得の一部にかかる課税を将来に繰り延べできる特例のことです。この特例を適用するには、一定の要件を満たす必要があります。要件についての詳細は、国税庁のサイトを確認しましょう。
●事業用の資産を買い換えたときの特例について詳しくはこちら
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
売却を考えている投資用マンションが相続によって取得したものの場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を適用できることもあります。この特例は、相続や遺贈によって取得した土地や建物などの財産を一定期間内に譲渡すると、相続税額の一部を取得費に加算できるというものです。取得費が増える分、課税所得が減り、譲渡所得にかかる税金を抑えられるメリットがあります。詳しい要件については、国税庁のサイトをご確認ください。
●相続財産を譲渡した場合の取得費の特例について詳しくはこちら
投資用マンションを5年以上所有してからの売却
これは特例ではなく節税方法ですが、不動産は所有期間が5年を超えてから売却した場合、譲渡所得にかかる税率が低くなります。なぜなら、所有期間が5年を超えたタイミングで、それまで適用されていた「短期譲渡所得にかかる税率」から、より税率の低い「長期譲渡所得にかかる税率」が適用されるためです。投資用マンションを売却することで多額の譲渡所得が発生しそうな場合は、売却にかかる税金を抑えるためにも、所有期間が5年を経過してからの売却を検討してみましょう。
●譲渡所得にかかる税金の税率について詳しくはこちら
一般的に、投資用マンションは居住用マンションと比べて売却時に活用できる特例が限られています。しかし、上記でご紹介したように、要件を満たせば適用できる特例や税率もあります。少しでも税金の負担を減らしたい場合は、所有しているマンションが要件を満たしているかどうか確認してみましょう。
なお、特例を利用するためには確定申告が必要です。忘れずに手続きしましょう。
投資用マンション売却に伴う税金以外の費用
投資用マンションの売却には、居住用マンションの売却と同様、税金以外に以下の費用がかかります。
・抵当権の抹消費用
・仲介手数料
抵当権の抹消費用
投資用マンション取得のために金融機関から融資を受けた場合、物件には抵当権が設定されています。抵当権はローンを完済しても、自動的には消えないため、抵当権を抹消するための登記手続きが必要になります。抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合は1万5,000円~2万円程度、住所変更登記を合わせると3万円~5万円程度です。
●抵当権抹消手続きについて詳しい記事はこちら
仲介手数料
投資用マンションの売却を不動産会社の仲介で行った場合は、仲介手数料がかかります。仲介手数料には定められた上限額があり、成約価格が400万円を超える場合は「成約価格(税抜)×3%+6万円+消費税」で求められます。なお、この消費税は投資用・居住用を問わずかかるものです。仲介手数料について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
●仲介手数料について詳しい記事はこちら
投資用マンションを売却する際の注意点
投資用マンションを売却する際には、以下の2点に注意しましょう。
・確定申告をする
・減価償却費を適切に計上する
投資用マンションを売却する際、譲渡所得が発生した場合や、特例を活用する場合には、確定申告が必要になると先述しました。なお、投資用マンションの売却において譲渡所得が発生せず、特例を利用しない場合でも、投資により給与以外で年間20万円以上の所得があった場合には、その分の確定申告が必須です。確定申告をしなかった場合、追加で課税されることがあるため注意しましょう。
また、毎年の減価償却費を計上していると、それだけ建物の簿価(会計上の評価額)が減っていくため、取得費が減って譲渡所得が高くなる場合があります。それに伴い、譲渡所得にかかる税金も高くなる恐れがある点にも注意しましょう。
投資用マンションの売却にかかる税金の不安は不動産会社に相談しよう!
ここまで、投資用マンションの売却にかかる税金について、税金の種類や計算方法をご説明してきました。売却時の税金の計算や手続きは複雑で、手間と時間がかかります。手続きでミスをしたり、思わぬ損失を出したりしないためには、不動産売却の知識を身に付け、信頼できる不動産会社にサポートしてもらうことがおすすめです。
三井のリハウスでは、投資用・居住用を問わず、マンションの売却に関するご相談を幅広く承っております。投資用マンションの売却でお悩みの方は、ぜひ一度三井のリハウスにご相談ください。
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。