家を売ったお金で家を買うにはどうすればいい?流れや税金の基礎知識

ライフステージの変化によって、今住んでいる家を売却し、得たお金で新しい家を購入する方もいるでしょう。しかし、買い替えの具体的な方法が分からないというのが実情ではないでしょうか?この記事では、買い替えの方法や、不動産の売却・購入で発生する費用と税金、住宅ローンが残っている場合の対処法などの基礎知識について解説します。

目次
  1. 家を売ったお金で家を買う方法
  2. 家を売ったお金で家を買うときの税金と諸費用
  3. 家の買い替えで利用できる特例や控除
  4. ローンが残っている家を売って新居を買いたい場合は?
  5. 今住んでいる家を売りたいなら不動産会社選びは慎重に!
記事カテゴリ 売却 購入 費用 税金
2025.01.28

家を売ったお金で家を買う方法

家を売ったお金で家を買うことを、住み替え、または買い替えといいます。住み替えの方法には、今住んでいる家を売却してから新しい家を購入する「売却先行」と、先に新居を購入し、引越しをしてから今の家を売る「購入先行」の2つがあります。以下、それぞれのメリットと注意点を簡単に表でまとめていますので、比較してみましょう。

比較項目メリット注意点
売却先行 ・今の家の売買代金を購入費用に充てられる
・売却活動に時間をかけられる
・新居への引越しのタイミング次第では仮住まいが必要
・旧居から仮住まい、その後新居へと2回の引越しが必要
購入先行 ・今の家に住みながら新居探しができる
・仮住まいが不要で、引越しも1回で済む
・新居の購入代金と、旧居・新居2つの維持費用が必要
・今の家のローンが残っている場合、ダブルローンになる可能性がある

家を売ったお金で家を買う際は、自己資金や住宅ローンの返済状況を見ながら、実現可能な方法がどちらであるかを見極めることが重要です。

売却を先行する場合

家を先に売る方法は、売買代金を住宅ローンの返済に充てたい人に向いているでしょう。住宅ローンの残債があっても、売却代金や自己資金を充てて一括返済できれば家の売却は可能です。そのため、住宅ローン返済中の場合は、今住んでいる家の売却活動を先に行い、その売却代金で決済時に住宅ローンを一括返済しましょう。

購入を先行する場合

一方の購入先行は、自己資金に余裕があり、かつ住宅ローンを完済・あるいは完済の目途が立っている場合に適しています。新居を先に購入してしまえば、売却する家の荷物を移動できるため、室内をきれいな状態にして内覧を受け付けられるというメリットもあります。

●売却先行、購入先行のメリットと注意点について詳しくはこちら

家の売却と購入を検討する人

家を売ったお金で家を買うときの税金と諸費用

マイホームを売るときと買うときには、税金や費用がかかります。どのような税金や費用がかかるのか、以下で詳しく解説します。

売るときにかかる税金と費用

不動産売却においてかかる税金と費用には、主に以下のものがあります。

費用項目詳細
印紙税1,000円~6万円
※取引価格が100万円超~5億円以下の場合
※2027(令和9)年3月31日までの軽減措置を適用した価格
ローン完済手数料
※住宅ローンを一括返済する場合のみ
金融機関や手続き方法によって金額は異なり、5,500円~5万円程度だが無料のケースもある
抵当権抹消登記を司法書士に依頼する費用
※抵当権が残っている場合のみ
1万5,000円~2万円程度
※住所変更登記を合わせると3万円~5万円
不動産会社への仲介手数料取引価格(税抜)×3%+6万円+消費税
※取引価格が400万円を超える場合

上記に加えて、譲渡所得(不動産の売却によって生じた所得)と呼ばれる利益を得た場合は、所得税および復興特別所得税、住民税の課税対象となります。

買うときにかかる税金と費用

新居を購入するときにかかる税金と費用には、主に以下のものがあります。

費用項目詳細
不動産取得税固定資産税評価額×4%(本則)
※2027(令和9)年3月31日までは軽減措置により土地と住宅は3%
印紙税1,000円~6万円
※取引価格が100万円超~5億円以下の場合
※2027(令和9)年3月31日までの軽減措置を適用した価格
所有権移転登記にかかる登録免許税
※中古物件を購入する場合
税額=固定資産税評価額×税率
※税率は土地と建物で異なる
所有権保存登記にかかる登録免許税
※新築物件を購入する場合
税額=法務局認定価格×税率
※法務局認定価格とは、固定資産税評価額が決定していない新築の建物価格について、建物の構造別・用途別に、各法務局が便宜上作成する価格のこと
※税率は土地と建物で異なる
抵当権設定登記にかかる登録免許税
※住宅ローンを借り入れる場合
税額=債権金額×税率
※税率は土地と建物で異なる
住宅ローン事務手数料事務手数料として3万円~5万円、あるいは融資額の1%~2%前後
住宅ローン保証料 外枠方式(一括前払い型):借入額の2%程度
内枠方式(金利上乗せ型):金利に0.2%上乗せ
不動産会社への仲介手数料取引価格(税抜)×3%+6万円+消費税
※取引価格が400万円を超える場合

●登録免許税の税率や軽減税率について詳しくはこちら

●住み替えのときにかかる税金について詳しい記事はこちら

家の売買にかかる税金と費用の計算

家の買い替えで利用できる特例や控除

家の買い替えでは、税金軽減の特例があります。売却時、購入時、それぞれで適用できる可能性のある特例をご紹介します。

売るときの特例

売却時に税金を軽減、もしくは繰り延べできる可能性のある特例は以下の通りです。

3,000万円の特別控除
マイホームを売却した場合、要件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(通称、3,000万円の特別控除)を適用できます。適用されると、譲渡所得から3,000万円を控除した(引いた)残りの金額が課税対象となります。つまり、3,000万円までは課税されません。

●3,000万円の特別控除について詳しくはこちら

マイホームを売ったときの軽減税率の特例
売却する家の所有期間が10年を超える場合、軽減税率の特例の条件に当てはまれば税率を下げられます。本来の税率(復興特別所得税含む)は、譲渡所得の20.315%(所得税15.315%、住民税5%)ですが、軽減税率を適用すると、6,000万円までの部分にかかる税率が14.21%(所得税10.21%、住民税4%)となります。

買い替え特例
買い替え特例とは、正式名称を「特定の居住用財産の買換えの特例」といいます。適用されれば、譲渡所得に対する所得税・復興特別所得税・住民税の課税を、次回の売却時まで繰り延べできます。ただし、3,000万円の特別控除や、後出の住宅ローン控除との併用はできません。

●買い替え特例について詳しくはこちら

●買い替え特例について詳しい記事はこちら

家の売買時に利用できる控除

買うときの控除

家を購入するときも、要件を満たせば適用できる特例があります。

住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、年末時点における住宅ローン残高の0.7%分の税額を控除できる制度です。上限はあるものの、新築住宅は13年間、中古物件は10年間控除を受けられます。利用条件や控除期間は社会情勢に応じて変更される可能性があるため、常に最新の情報をチェックするようにしましょう。

●住宅ローン控除について詳しくはこちら

●住宅ローン控除の利用について詳しい記事はこちら

ローンが残っている家を売って新居を買いたい場合は?

家の売却代金と自己資金の合計が住宅ローンの残債よりも少ない場合は、住宅ローンが完済できず抵当権が抹消できないため、家を売って新居を買うことができません。

住宅ローンの残債があっても住み替えたい場合は、旧居の住宅ローンの残債と新居の購入資金を合算して借りられる、住み替えローンの利用を検討しましょう。ただし、担保割れの状態かつ借入金額が増えるため、一般的な住宅ローンより審査が厳しくなる点には注意が必要です。

●住み替えローンについて詳しい記事はこちら

また、上記の方法のほかにダブルローンがありますが、返済の負担が大きく、利用可能な金融機関も限られることに気を付けましょう。

●ダブルローンについて詳しい記事はこちら

家の売買を検討する人と不動産会社の担当者

今住んでいる家を売りたいなら不動産会社選びは慎重に!

今住んでいる家を売って、新しい家を買いたい場合、自己資金や住宅ローンの返済状況を見ながら計画的に進める必要があります。また、今の家がいくらで売れるか、相場を知っておくことも資金計画を立てるうえで重要です。住み替えを検討している方は、自宅がいくらで売れそうか、査定を受けてみてはいかがでしょうか?

三井のリハウスでは、豊富な取引実績をもとに無料査定や不動産売買のサポートを行っています。お客さまの状況に合わせた特例や控除をご紹介しながら、最適な売却プランをご提案します。住み替えでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。