
遠方の不動産を売却するには?注意点やポイント
相続等の理由で遠方にある不動産を取得する方もいるでしょう。このような不動産は、売主と買主の相対が難しい場合のみ、代理人を立てる、司法書士に代理を依頼する、持ち回り契約を結ぶという方法で売却できます。今回は、遠方の不動産を売却する方法や流れ、注意点について解説します。
目次
売買契約に出向けない場合に遠方の不動産売却をする3つの方法
マンションや土地などの不動産売買において、売却相談や媒介契約の締結、売却活動は、売主と不動産会社の担当者が相対することなく、郵送で行えます。しかし、売買契約の手続きは、原則、売主、買主、不動産会社の担当者が立ち会って行われます。不動産が遠方にある等立ち会いが難しい場合に限っては、以下のいずれかの方法で、売主本人の立ち会いなしでの売却が可能です。
・代理権を付与した代理人を立てる
・司法書士に代理を依頼する
・持ち回り契約を結ぶ
それぞれ順番に解説していきます。
代理権を付与した代理人を立てる
売主が売買契約に出向くことができない場合は、代理権を付与した代理人に依頼する方法もあります。代理人を立て、代理委任状を作成すれば、仲介する不動産会社との媒介契約をはじめ、購入希望者との売買契約の締結、買主への不動産の引渡し手続きなどを委ねられます。
代理人は売主が自由に選べるものの、代理人が行った署名捺印の責任は売主が負うことになり、代理人が行った法律行為は売主本人が行ったものと同等の効力を発します。契約時のトラブルを避けるためにも、親族や知人、専門家といった信頼できる人を選ぶことが重要です。
司法書士に代理を依頼する
売主が売買契約に立ち会えないときには、司法書士に代理を依頼することも選択肢の1つです。司法書士とは、登記業務や供託業務を請け負う法律事務の専門家です。報酬が発生するものの、不動産売買における専門的な手続きの代理を依頼できます。
ただし、売買契約が締結され、決済が行われるときには、原則として売主本人の同席が求められます。決済前に本人確認ができている、または本人が病気で同席することが難しいなどの場合に限り、同席が不要なこともあります。
遠方にある不動産を売却する場合は、遠征費が別途かかることもあるため、依頼する前に費用の見積もりを取っておくとよいでしょう。
持ち回り契約を結ぶ
持ち回り契約とは、不動産売買契約の手続き方法の1つです。この方法では、売買を仲介する不動産会社の担当者が、売主と買主のもとにそれぞれ出向いて不動産売買契約を締結します。遠方の不動産売却や、何らかの理由で売主と買主の立ち会いが難しい場合に限って用いられ、両者が同席することなく売買契約を締結します。
しかし、顔を合わせる機会がないため、やりとりには時間がかかることもあります。売主と買主の認識のずれによって意図しないトラブルが発生する恐れもあるため、持ち回り契約を結ぶのであれば慎重に進めることが大切です。
遠方の不動産を売却する際の流れ
遠方の不動産売却は、通常の売却方法の流れと大きく変わりません。具体的な流れは、以下の通りです。
・売却準備を行う
・媒介契約を結ぶ
・売却活動を行う
・売買契約を結ぶ
・引渡しを行う
順番に、ご紹介していきます。
売却準備を行う
まずは、売却準備として物件の査定を不動産会社に依頼しましょう。オンラインで完結するAI査定や簡易査定、不動産会社の担当者が物件の詳細を確認する訪問査定という3種類の方法があります。
遠方にある不動産の売却を具体的に検討している方は、より精度の高い訪問査定がおすすめです。空き家の場合は、事前に鍵を送付しておけば不動産会社が対応してくれることもあります。
●不動産査定についてはこちら
媒介契約を結ぶ
査定結果を踏まえて、仲介を依頼する不動産会社が決まったら媒介契約を結びます。不動産仲介会社との媒介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類です。
売却したい物件のエリアにある不動産会社に依頼する場合は、媒介契約書を郵送してもらい、それに署名と押印をして返送するという方法があります。
●媒介契約についてはこちら
売却活動を行う
媒介契約の締結後は、不動産会社による売却活動が始まります。売主は不動産会社から適宜報告をもらい、進捗を把握しておきましょう。なお、専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告義務が課せられるため、安心して売却活動を行えます。
売買契約を結ぶ
買主が決定したら、売買契約を締結し、手付金の納付が行われます。遠方にある不動産の売買契約は、代理人、司法書士による代理、持ち回り契約によって対応できる場合もあります。
引渡しを行う
最後に、売買代金の残金決済と引渡しを行います。原則、売主本人の立ち会いが必要ですが、難しければ、引渡しのプロセスも代理人や司法書士に依頼することも検討しましょう。
遠方の不動産を売却する際の注意点
遠方の不動産を売却する際は、計画的に進めることが大切です。通常の不動産売却とは異なり、書類や鍵の郵送、代理人の調整などに時間がかかるため、計画的に進めないと焦って失敗につながる恐れもあります。そのため、余裕のあるスケジュールを立てることをおすすめします。
遠方にある不動産売却の注意点は、通常の売却と大きく変わりません。主に、以下の点をあらかじめ押さえておきましょう。
・余裕のあるスケジュールを立てる
・総合的な判断で不動産会社を選ぶ
・媒介契約は状況に合った方法を選ぶ
・内覧では快い対応をする
・売買契約書の内容を精査する
・引渡し前にやっておくべきことを怠らない
・売却で利益が出た方、また、特例を使いたい方は確定申告をする
●家を売る際の注意点やコツについてはこちら
遠方の不動産を売却する際の2つのポイント
遠方の不動産をスムーズに売却するためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
・信頼できる不動産会社を選ぶ
・専任媒介契約か専属専任媒介契約を選ぶ
具体的に解説します。
信頼できる不動産会社を選ぶ
代理人と同様に、不動産会社選びにおいても信頼性が重要です。特に遠方の不動産を売却したいのであれば、売却予定の物件があるエリアに精通していると安心でしょう。また、遠方の場合は、対面ではなく電話や郵送、オンラインでのやりとりが増えることもあります。担当者のスピードやコミュニケーションの進め方などから信頼性を判断するのも大切なポイントです。
不動産会社選びのために、遠方まで出向くことは、売主にとって負担になることもあります。不動産会社選びの手間を減らすには、売主の居住地にありながら、売却予定の土地にも詳しい不動産会社を探すという方法もおすすめです。
●不動産会社のよい選び方についてはこちら
専任媒介契約か専属専任媒介契約を選ぶ
遠方の不動産売却では、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶのがよいといわれています。物理的な距離がある不動産の売却では、報告義務があるほうがより安心して任せられるからです。
一般媒介契約では複数の不動産会社と契約できますが、売主への報告義務がありません。不動産会社によっては状況を把握しにくくなる恐れがあることを念頭に置いておきましょう。
●一般媒介契約との違いについてはこちら
遠方のマンション売却は三井のリハウスで
マンションや一戸建て、土地など、遠方の不動産を売却する方法やスムーズに進めるポイントなどについてお伝えしました。遠方の不動産を売却する場合、持ち回り契約を結ぶときはもちろん、代理人を立てたり司法書士に依頼したりするケースでも仲介を行う不動産会社選びは非常に重要です。信頼して任せられる不動産会社を選んで、遠方にあるマンション売却を成功させましょう。
三井のリハウスは、全国のさまざまな地域に店舗を展開しています。遠方にある不動産を売却したいとお考えでしたら、お近くの三井のリハウス窓口までご相談ください。所有不動産があるエリアの各センターと連携して、売却活動をサポートいたします。
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。