高齢者がリースバックを使う際の注意点!自宅に住み続けるにはどうすればいい?

高齢者がリースバックを契約する理由には、老後の資金確保や住み慣れた家に住み続けるためなどが挙げられます。今回の記事では、リースバックのメリットや、利用する際に後悔しないための注意点、トラブルについて詳しく解説します。

目次
  1. 高齢者に人気のリースバックとは?
  2. 高齢者がよく利用するリバースモーゲージとの違い
  3. リースバックを高齢者が利用する理由
  4. リースバックを高齢者が利用するメリット
  5. リースバックを高齢者が利用する際の注意点
  6. 老後の資金にお悩みならまず三井のリハウスへ!
2025.03.25

高齢者に人気のリースバックとは?

リースバックとは、マイホームを売却しても、同じ物件にそのまま住み続けられる制度です。具体的には、所有者が不動産会社やリースバック会社などに自宅を売却し、その後すぐに物件を購入した不動産会社等と賃貸借契約を結んで賃借人となります。これにより、まとまった売却資金を得ながらも、住み慣れた自宅に住み続けることができ、従来の生活を維持できます。

リースバックは、住宅ローンの返済に困っている人や、老後資金を確保したい高齢者にとって有効な方法の1つです。また、住み慣れた家を離れたくない人にも適しており、近年注目を集めています。

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リースバックで結ぶ賃貸借契約書

高齢者がよく利用するリバースモーゲージとの違い

リバースモーゲージは、高齢者が自宅を担保に金融機関から融資を受ける制度です。この制度では、契約者は生涯自宅に住み続けられ、毎月の返済は主に利息のみで済みます。そして、契約者の死亡後または契約期間の満了時に、金融機関に借入金を返済する仕組みです。返済方法は、自宅売却によるか自己資金によるかを選べます。

リースバックとリバースモーゲージの主な違いは、所有権の扱いと資金を得る方法です。リースバックでは不動産の所有権を手放し、売却によって一括で資金を得ますが、リバースモーゲージでは所有権を保持したまま、融資という形で資金を得ます。

また、リースバックは毎月の家賃の支払いが必要で、個人だけでなく企業の事業資金調達にも活用されることがあります。一方、リバースモーゲージは、契約者が生きているうちの支払いは主に利息のみであるため、資金のほとんどは個人の老後の生活や住み替えに利用されるのが一般的です。事業用資金や投資目的には利用できない点に注意が必要です。

これらの違いを踏まえ、個々の状況や目的に応じて、リースバックとリバースモーゲージのどちらが適しているかを慎重に検討することが重要です。

以下にそれぞれの違いを分かりやすくまとめましたので、ぜひご活用ください。

比較項目リースバックリバースモーゲージ
所有権売却により失う保持したまま
資金調達方法不動産売却不動産担保融資
資金受取一括一括または分割
毎月の支払い家賃の支払い主に利息のみ
資金使途制限なし金融機関により制限あり
対象年齢制限なし主に50歳から60歳以上
返済方法返済はなく、賃貸借契約のため毎月家賃を支払う契約者死亡後に自宅売却または自己資金で一括返済
リフォーム・建て替え原則不可可能

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悩んでいる高齢夫婦

リースバックを高齢者が利用する理由

高齢者がリースバックを利用する主な理由は以下の通りです。

・老後の資金確保
・住み慣れた環境での生活継続
・突発的な出費への対応
・住宅ローンや借金の返済
・高齢者施設の入居金確保

高齢者がリースバックを利用する主な理由は、経済的な安定と生活環境の維持にあります。リースバックは、自宅を売却することで一時的にまとまった資金を得られ、かつ同じ家に住み続けられるという特長があります。これにより、年金だけでは不十分な老後の生活資金を確保しつつ、長年慣れ親しんだ環境で生活を続けられるでしょう。

また、高齢期には予期せぬ医療費や介護費用が必要になることがあります。リースバックを利用することで、こうした突発的な出費に対応できる資金を手元に用意できます。

住宅ローンの返済に苦労している高齢者にとっては、リースバックによってローンを一括返済し、毎月の支出を軽減できる点も魅力的です。加えて、将来的に高齢者施設への入居を考えている場合、その入居金を確保する手段としてもリースバックは有効です。

このように、リースバックは高齢者の多様なニーズに応える資産活用方法として注目されています。ただし、契約内容をよく理解し、慎重に検討することが重要です。

リースバックを高齢者が利用するメリット

高齢者がリースバックを利用する主なメリットは以下の3つです。

・自宅に住み続けながら資金を得られる
・ランニングコストが少なくなる
・資金使途が自由である
・将来的に再購入の可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

自宅に住み続けながら資金を得られる

住環境を維持しながら資金を得られる点は、リースバックの大きなメリットです。高齢者にとって、長年住み慣れた家や地域を離れることは精神的にも身体的にも大きな負担です。しかし、リースバックを利用すれば、近隣との人間関係や日常生活のリズムを崩すことなく、経済的な余裕を手に入れられる可能性があります。特に、年金だけでは十分な生活資金を確保できない高齢者にとって、この点は魅力といえるでしょう。なお、リースバックは一戸建てだけでなく、マンションにも適用できます。

リースバックで得るまとまった資金

ランニングコストが少なくなる

リースバックは、家を賃貸住宅として借りるため、自宅の所有に伴う維持費が不要になります。具体的には、固定資産税や修繕費、建物の火災保険料などがあり、マンションなら管理費・修繕積立金も挙げられます。リースバックを利用した場合、これらを負担するのは、原則物件を購入した不動産会社等です。そのため、入居後に支払うのは毎月の家賃等で、家を所有していたときよりも維持費を抑えられるケースが多いでしょう。

資金使途が自由である

リースバックで得た資金は、使い道に制限がありません。老後の生活資金として活用するだけでなく、突発的な医療費や介護費用、長年の夢だった旅行資金、孫への教育資金など、高齢者のさまざまなニーズや願望に応じて自由に活用できます。これにより、経済的な不安を解消しつつ、より充実した老後生活を送れるでしょう。

ただし、成約価格や将来の家賃上昇リスク、契約期間など、さまざまな条件を慎重に検討しなければなりません。家族や専門家とよく相談したうえで決断することが重要です。

将来的に再購入の可能性がある

リースバックには、自宅を再び購入できる「買戻しの特約」が付与される場合があります。「買戻しの特約」とは、一定の要件を満たしたとき、不動産の売主は買主に対して売買の解除をすることができるもので、民法により定められています。一度は資金繰りが厳しくなり賃貸として暮らしたとしても、将来的に資金に余裕ができ、自宅を購入できる可能性は十分に考えられます。ただし、「買戻しの特約」は売買契約と同時に結んでおく必要があるため、契約条件をきちんと確認するようにしましょう。

リースバックを高齢者が利用する際の注意点

リースバックの利用を検討している方のなかには、リースバックのデメリットを知りたいと思っている方もいるでしょう。ここでは、リースバックの注意点をご紹介します。高齢者がリースバックを利用する際の注意点は主に以下の3つです。

・契約内容の複雑さと理解不足のリスクがある
・経済的な負担が重くなる可能性がある
・悪質な勧誘や詐欺的行為の危険性が潜んでいる

それぞれ詳しく解説します。

契約内容の複雑さと理解不足のリスクがある

リースバックを契約する際は契約内容の複雑さと理解不足のリスクを理解しておく必要があります。リースバックは、売買契約と賃貸借契約の2つを締結する複雑な仕組みです。そのため、高齢者が判断能力の低下により契約内容を十分に理解しないまま契約してしまうケースが多発しています。これにより、後々トラブルに巻き込まれる危険性が高くなります。前述の「買戻しの特約」についても、契約時に結ぶことが要件であるため、よく契約内容を理解しておかないと将来的に再購入することができない恐れがあります。

経済的な負担が重くなる可能性がある

リースバックの成約価格は、通常の相場価格の60%~80%になる傾向があります。さらに、売却後は家賃相場が高く設定されることがあり、毎月の負担が大きくなりがちです。最悪の場合、数年で資金が底をつき、家賃が払えなくなって住む家がなくなる恐れもあるでしょう。

悪質な勧誘や詐欺的行為の危険性が潜んでいる

悪質な勧誘や詐欺的行為の危険性も見過ごせません。一部の業者は高齢者の不安を煽り、長時間の勧誘や虚偽の説明で契約を迫ることがあります。国土交通省や国民生活センターが注意喚起を行うほど、高齢者を狙った悪質なリースバック契約が横行しています。

これらの点を考慮すると、高齢者がリースバックを利用するときはリスクを踏まえたうえで慎重に検討する必要があるでしょう。

勧誘に悩む高齢者女性

老後の資金にお悩みならまず三井のリハウスへ!

今回の記事では、高齢者がリースバックを利用する理由やリースバックのメリット、注意点について解説しました。高齢者は老後資金の確保や、住み慣れた環境で生活し続けるためなどの理由でリースバックを利用しているケースが見られます。一見メリットが多いように感じますが、注意点でも解説した通り、高齢者が利用するリスクも決して少なくないのが実情です。

老後資金のためにリースバックを検討している方には、リースバックよりも高値で売却できる可能性がある仲介での売却活動がおすすめです。マイホームを売却して得たお金で新たな住宅を購入する、もしくはシニア向け賃貸住宅に居住するなど、状況に合わせた住み替えができます。なお、家を仲介で売却するなら、まずは実績があり信頼できる不動産会社に査定を依頼することから始めましょう。

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監修者:三上隆太郎

株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。
個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し、中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
https://mkm-escrow.com/